音楽は時を刻んでくれる。
音楽は想いを刻んでくれる。
音楽は心を癒してくれる。
音楽は心を躍らせてくれる。
音楽は人を変える力を持つ。
というわけで、カフェと音楽は切っても切り離せない関係だ。
音楽の流れていないカフェの話はほとんど聞いたことがない。
なぜか。なんとなく寂しいから流しているわけではない。
そのお店にのコンセプトによって流れる曲が違い、お客様に感じてほしいことがそれぞれあるからなのだ。
美味しいコーヒーや紅茶を飲みながら後ろで何気なく流れてる曲があなたの気持ちを落ち着かせたり高揚させたりしたことはないだろうか。
コーヒーや紅茶のティータイムのひと時のスイーツや本、友人と並ぶパートナーがミュージックだ。
カフェ×ミュージック。
至高の一杯とそれに合うミュージック。
人はそれをミュージックマリアージュという。
ワインと相性のいい料理やおつまみを関係を結婚にたとえて「マリアージュ」といいます。
ワインはおいしい料理を引き立て、料理はワインの味を際立たせます。
カフェでの一杯も同様に素敵な曲はコーヒーの味を引き立て、心を躍らせます。
そんなわけで簡単に言うと兄さんが勝手に好きなアルバムや曲を紹介するコーナー。
音楽っていいですよね。いろんな力を持っています。心を動かし、人を変える力まで・・・
とまあ、音楽の話はまた機会があればということで、今回はコーヒーに合うミュージック。
では、ミュージックマリアージュ:コーヒー編ということでこちらのアルバムをご紹介。
トム・ウェイツ/土曜の夜(原題:Tom waits/The Heart of Saturday Night)
じつは、どちらかというとコーヒーというより、お酒の方が合いそうなアルバムなのですが一杯のコーヒーを飲みながら様々な物思いにどっぷりとつかれる一枚です。おすすめの一枚。
アルバムの味わい:トム・ウェイツ/土曜の夜 |
|
コーヒー相性 | ★★★★ |
甘味 | ★★★★ |
酸味 | ★ |
苦み | ★★★★★ |
コク | ★ |
※甘味はメロウさ酸味は曲のキレ、苦みは渋さやカッコよさ。コクは曲のヘビーさを表します。
このアルバムを作ったのはトム・ウェイツが25歳の時。そして私がこのアルバムに合ったのも25歳の頃、25歳でこんな情緒あふれる渋いアルバムが作れるなんてすごい。
当時の俺は究極にアホだったのは確かだ。
そして、あの頃ははハードロックやメタルをバリバリ聞いていた。だから余計に新鮮だったのかな・・・
初めて聞いた時、哀愁ただよう独特の物悲しさと、ピアノがかもしだすジャージーな渋さ、しゃがれた声(後にしゃがれすぎるが・・・)心のすべてが不思議な雰囲気に包まれていくような感覚が衝撃的だったことを覚えている。
自分はまだ若く、狭い音楽感性の自分にとっても刺激的な一枚だった。
歌詞など知らなくても曲自身が感じさせる渋さが当時の若造な僕の心を捉えた。
友達にこのアルバムを教えてもらい次の日にCDを買いにお店に走ったくらいだ。
曲ってのはその時の心の状態によっても好みは分かれると思う。
25歳くらいの時は音楽好きな友人がたくさんいて多くの曲をおすすめしてもらったが、当時はなんとも思わなくても今、心がしびれる曲やアルバムがある。
このアルバムはその時の心境にぴったりだったのだろう。また、大人になってあらためて歌詞を見るとこれまた感慨深いものがある。
全体的に何かをふっと思い出すかのような曲調が懐かしさを感じさせ、心の傷を慰めてくれるような語るような歌声が癒しをくれる。
私にとってはそんな1枚。そして今となってはその当時をたくさん思い出させてくれる想い出の1枚にもなっている。
かっこよくもあり、渋さも、哀愁もあり情緒にあふれたアルバムがこの「土曜の夜」だ。
その中でも好きな曲が
二曲目の「San Diego Serenade」と六曲目、アルバムタイトル曲の「The Heart of Saturday Night」だ。
「San Diego Serenade」歌詞は大人になってからみたのだがこれがまたずっしりと心に響く。
この曲の歌詞はには「○○するまで○○だった」(Never~till~)という歌詞が反復されている。
そこには人生で何か物事が起こってからしか気が付けない自分のこころの切なさ。もしくは大切なことに気が付けた喜び。やっと気が付けた、小さな出来事の大切さなどを感じることができ、メロディーだけでもカッコいいがより曲のあじわいが深まるのでコーヒー片手に歌詞を見ながら堪能してみてはいかがかと思う。
自分のNever~tillを探しながら・・・
そして「The Heart of Saturday Night」
土曜の夜。土曜の夜は何かが起こるような気がしてワクワクした若いころ。精一杯のおしゃれをして(あの頃はセンスなくてダサかったのを思い出してしまうが)しょっちゅう大人気分でバーに女の子と出会えるのを期待して出かけていたものだ。
そんな土曜の恋人探しに出かけた若いころを思い出させてくれるしんみりした曲。
歌詞の内容もそんな感じ。
とにかく最高な1枚
ぜひ、みなさんにも耳にして欲しいアルバムだ。
トム・ウェイツ(Tom Waits)
1949年のカリフォルニア州の生まれ。
16歳で高校を中退し、ピザ屋の店員として働きその仕事の合間に作詞・作曲を始めた。セカンド・アルバムの「土曜の夜」の収録曲「ゴースト・オブ・サタデイ・ナイト」は、この頃の経験を元にした歌で、サブタイトルは「After Hours at Napoleone's Pizza House」である。
1970年にロスに移りクラブで歌うようになり、1971年にはハーブ・コーエン(当時フランク・ザッパなどのマネジメント担当)と出会い、同年に初のデモ・テープを制作し1973年にレコードデビューをする。
※デモテープの音源は、1990年代に『アーリー・イヤーズVol.1、Vol.2』として世に出る。
デビュー後「酔いどれ詩人」という名で呼ばれ、特徴的なしゃがれた声とジャージーなピアノと独特な歌詞で人気。
1990年以降はグラミー賞の受賞、ビルボードのアルバムチャートトップ40入りなどを果たし、彼の独特の世界観と個性は幅広い層へと認知度を上げていく。
様々なミュージシャンからの評価も高く、楽曲をカバーするミュージシャンも多数。2011年にはロックの殿堂入りも果たす。
土曜の夜
1974年発売のセカンドアルバム。土曜の夜(The Heart of Saturday Night)
セールス面では成功はしていないが、根強いファンが多く名盤と称する人も多く、また初期の代表作ともいえる作品との声も多い。
4曲目の「Shiver Me Timbers」はベッドミドラーがカバーし「Songs for the New Depression」(1976)に収録されている。
6曲目、「土曜の夜」はホリー・コールのトム・ウェイツ作品集『Temptation』(1995年)でも取り上げられている。
【収録曲】
No. | 原題 | 邦題 |
1 | New Coat of Paint | ニュー・コート・オブ・ペイント |
2 | San Diego Serenade | サンディエゴ・セレナーデ |
3 | Semi Suite | セミ・スウィート |
4 | Shiver Me Timbers | シヴァー・ミー・ティンバース |
5 | Diamonds on My Windshield | ダイアモンズ・オン・マイ・ウィンドシールド |
6 | The Heart of Saturday Night | 土曜日の夜 |
7 | Fumblin' With the Blues | ブルースを弾きながら |
8 | Please Call Me, Baby | プリーズ・コール・ミー、ベイビー |
9 | Depot, Depot | デポー、デポー |
10 | Drunk on the Moon | ドランク・オン・ザ・ムーン |
11 | The Ghosts of Saturday Night (After Hours at Napoleone's Pizza House) | ゴースト・オブ・サタデイ・ナイト |
このアルバムに限ったことではないが、ぜひアルバムを聞くときはCDを買って聞いてほしい。
かつ、国内版を買ってライナーノーツを見ながらじっくりと味わっていただきたい。
簡単にダウンロードで音楽を楽しめるようになった反面音楽を楽しむ要素として失ったことも多く感じる。
それが、アルバムのジャケットを楽しむこと、ライナーノーツを読むこと、実際にモノを手にした時の感動とワクワク感だ。
あのワクワク感があったから、より曲の良さを味わえたと思う。
そして自分の音楽の枠を広げるヒントもライナーノーツの中にたくさんあった。その文面から次の音楽へと広がったこともたくさんあった。
またそうして広がっていくことがとても楽しかった。
心躍る1枚に出会った時の感動も大きかった。
皆さんもこの記事を読んで、このアルバムが心躍る1枚となり、音楽の枠を広げる一つになってくれたらとても嬉しいと思う。
そして、トム・ウェイツの土曜の夜で一杯のコーヒーと物思いにふけってみてはいかがですか。
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